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法人の電気代を削減する7つの方法|補助金・税制優遇も解説

更新日:2026/06/18

法人の電気代を削減する7つの方法|補助金・税制優遇も解説イメージ

法人の電気代は、個人と異なりデマンド値が基本料金に直結するなど、独自の仕組みがあるため、削減方法を間違えると効果が出にくいケースがあります。
法人の電気代削減には、料金の仕組みを正しく理解したうえで、契約の見直しから設備投資まで優先順位をつけて取り組むことが重要です。
この記事では、法人の電気代を削減したい担当者・経営者の方へ向けて、7つの削減方法・活用できる補助金・取り組む際のリスクについて解説します。自社のコスト削減計画の参考としてみてください。

法人の電気代削減を始める前に知っておくべき料金の仕組み

法人の電気代削減を進めるには、まず料金の仕組みを正しく理解することが重要です。仕組みを知らないまま対策を講じても、削減効果が出にくいケースがあります。

ここでは、法人の電気料金の内訳・個人との違い・契約種別の3つのポイントを解説します。

法人電気料金の4つの内訳

法人の電気料金は、4つの項目で構成されています。

項目内容
基本料金契約電力(デマンド値)をもとに毎月固定で発生する料金
電力量料金実際に使用した電力量に応じて変動する料金
燃料費調整額石炭・LNGなど燃料価格の変動に応じて増減する料金
再エネ賦課金再生可能エネルギーの普及を支えるために全利用者が負担する料金

電気代を削減するうえで直接コントロールできるのは、基本料金と電力量料金の2項目です。この2つを下げる手段を講じることが、法人の電気代削減の基本的な考え方となります。

法人と個人で料金計算が異なる理由

個人(家庭用)・法人ともに「基本料金+電力量料金」という基本構造は共通しています。ただし、基本料金の決まり方が根本的に異なります。

個人の場合、基本料金は契約アンペア数(または最低料金)をもとに決まるため、比較的シンプルな仕組みです。一方、法人の高圧契約(実量制)では、過去1年間の最大需要電力(デマンド値)をもとに基本料金が決まります。

つまり、月全体の使用量が少なくても、特定の30分間に電力を集中して使えばデマンド値が上昇し、以降1年間にわたって基本料金が高い水準で推移します。この仕組みを理解していないと、節電しているのに電気代が下がらないという状況に陥りやすいため注意が必要です。

低圧・高圧・特別高圧の契約種別と仕組み

法人の電気契約は、受電電圧や必要な契約電力の規模に応じて区分されます。

契約種別受電電圧契約電力の目安主な対象
低圧交流600V以下(100V・200V)50kW未満小規模オフィス・小売店舗など
高圧交流600V超〜7,000V以下(一般的に6,000V)50kW以上2,000kW未満中規模工場・商業施設・病院など
特別高圧7,000V超(一般的に20,000V以上)2,000kW以上大規模工場・データセンターなど

低圧は電柱の柱上変圧器で変圧された電気をそのまま受電できるため、特別な受電設備は不要です。一方、高圧・特別高圧では敷地内にキュービクルなどの受変電設備を自社で設置・管理する必要があり、設備費や保安点検費用も発生します。

契約種別は自社の使用電力量の規模によって区分が決まりますが、2016年の電力小売全面自由化以降、その枠組みの中で電力会社や料金プランを自由に選択・変更できるようになっています。自社がどの種別に該当するかを把握することが、法人の電気代削減を進めるうえでの出発点となります。

法人の電気代削減に効果的な7つの方法

法人の電気代削減は、大きく「契約の見直し」「設備・運用の改善」「エネルギー管理の高度化」の3つのアプローチに分けられます。自社の電気料金の内訳を把握したうえで、効果の高い方法から優先的に取り組むことが重要です。

ここでは、法人が実践できる下記の7つの方法を解説します。

  • 電力会社・料金プランの切り替え
  • デマンドコントロール
  • LED化・省エネ設備への更新
  • 空調設備の最適化
  • 自家消費型太陽光発電の導入
  • 蓄電池の導入
  • BEMS・EMSの導入

それぞれ詳しく解説します。

電力会社・料金プランの切り替え

電力会社や料金プランの切り替えは、設備投資が不要なコスト削減方法です。

2026年3月31日時点で全国に808社の小売電気事業者が存在しており、各社が独自の料金プランを提供しています。

出典:資源エネルギー庁|登録小売電気事業者一覧 

高圧契約の場合、1kWhあたり数円の単価差でも年間の削減額は大きくなるため、複数社から個別見積もりを取得して比較することが重要です。また、料金プランには「固定単価型」と「市場連動型」があります。固定単価型は料金が安定しやすい一方、市場連動型は電力市場の価格変動によって大幅に上昇するリスクがあります。自社の使用量や稼働パターンに合ったプランを選ぶことが、長期的なコスト削減につながります。

デマンドコントロール

デマンドコントロールとは、30分間の平均使用電力(デマンド値)を管理し、基本料金を引き下げる取り組みです。

高圧契約(実量制)の法人では、当月を含む過去1年間の最大需要電力をもとに契約電力が決まります。そのため、一度でも高いデマンド値を記録すると、その後1年間にわたり高い基本料金が続きます。

対策としては、デマンド監視システムを導入してリアルタイムで使用電力を把握し、警報が鳴った際に空調や生産設備の稼働を一時停止する運用が有効です。

また、電力使用量の多い設備の稼働時間を分散させることで、ピーク時のデマンド値そのものを抑制できます。

LED化・省エネ設備への更新

既存設備を省エネ性能の高い機器に更新することで、電力量料金の削減が期待できます。

LEDは蛍光灯と比べて消費電力を大幅に削減できるうえ、発熱量が少ないため空調への負担軽減にも間接的に貢献します。また、「水銀に関する水俣条約」に基づく規制により、蛍光灯は種類ごとに2026年1月以降段階的に製造・輸出入が禁止されるため、駆け込み需要による価格高騰や工事業者の繁忙を避けるためにも早期のLED化が推奨されます。

コンプレッサーやポンプなどの産業用設備を省エネ型に更新することで、さらに大きな削減効果が見込める場合もあります。

出典:経済産業省|蛍光灯からLED照明への切り替えはお済みですか? 

空調設備の最適化

空調設備は法人の消費電力のなかでも特に大きな割合を占めており、最適化による削減効果が高い項目です。

古い空調設備は省エネ性能が低く、最新機種への更新によって一定の省エネ効果が期待できます。運用面では、設定温度の適正管理や室外機周辺の通気確保、サーキュレーターとの併用による空気循環の改善が有効です。さらに、BEMSと連携した自動制御を導入することで、消し忘れや過剰運転を防止でき、デマンド値の抑制にも直結します。空調は電気代に占める割合が大きいため、運用改善だけでも削減効果を実感しやすい項目です。

自家消費型太陽光発電の導入

自家消費型太陽光発電とは、発電した電気を売電せず、自社の事業所や工場で直接消費する方式です。

電力会社からの買電量が減ることで電力量料金と再エネ賦課金を同時に削減でき、デマンド値の抑制にも寄与します。初期費用の負担が大きい場合は、設備を第三者が設置・保有し発電した電力を契約単価で購入するPPA(電力購入契約)モデルが有効です。PPAは初期費用ゼロでの導入が可能で、設備の保守・点検も事業者に任せられるため、中小企業でも取り組みやすい仕組みです。

蓄電池の導入

蓄電池は電力使用量が少ない時間帯に電気を蓄え、ピーク時に放電することでデマンド値を直接抑制する設備です。

デマンド値を下げることで基本料金の削減に直結する他、太陽光発電と組み合わせることで夜間や曇天時にも発電した電気を無駄なく活用でき、買電量のさらなる削減が期待できます。また、系統電力への依存度を下げることで停電時にも電力を確保できるため、BCP(事業継続計画)対策としての機能も同時に果たします。

BEMS・EMSの導入

BEMS(ビル・エネルギー管理システム)は、建物内の設備ごとのエネルギー使用量を時間別・日別・月別で集計・可視化し、空調や照明を自動制御するシステムです。

前述したデマンドコントロールや空調最適化を手動の運用で行う場合、担当者の負担が大きく継続が難しくなります。BEMSを導入することでこれらを自動化・システム化でき、人的ミスによるデマンド値の超過や消し忘れを防止できます。導入にあたっては補助金を活用できるケースもあるため、費用対効果を試算したうえで検討することをおすすめします。

法人の電気代削減に活用できる省エネ補助金・税制優遇

法人が省エネ設備や再エネ設備を導入する際、補助金や税制優遇を活用することで初期費用の負担を大幅に軽減できます。設備投資の費用対効果を高めるためにも、自社の取り組みに合った制度を事前に把握しておくことが重要です。

ここでは、法人が活用できる下記の4つの制度を解説します。

  • 省エネ・非化石転換補助金(経済産業省)
  • 需要家主導型太陽光発電導入促進補助金(経済産業省)
  • ストレージパリティ補助金(環境省)
  • 省エネ税制(中小企業経営強化税制)

それぞれ詳しく解説します。

省エネ・非化石転換補助金(経済産業省)

省エネ・非化石転換補助金は、省エネ設備への更新や非化石エネルギーへの転換に要する費用の一部を支援する制度です。

空調設備・産業用モータ・EMS機器など幅広い設備が対象となっており、事業区分に応じて「工場・事業場型」「電化・脱炭素燃転型」「設備単位型」「エネルギー需要最適化型」の4つから申請できます。補助上限額は最大15億円(非化石転換の場合は20億円)と高額で、中小企業には補助率の優遇措置もあります。

出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ|省エネ・非化石転換補助金 

需要家主導型太陽光発電導入促進補助金(経済産業省)

需要家主導型太陽光発電導入促進補助金は、再エネ利用を希望する需要家が発電事業者と連携し、FIT・FIP制度によらない形で太陽光発電設備を導入する際に、発電事業者の設備導入費の一部を補助する制度です。

オフサイトコーポレートPPAと呼ばれる、発電所が需要家の敷地外に設置されるモデルを主な対象としており、合計2MW以上の新設設備が要件となっています。需要家は発電事業者に働きかけることで、間接的にこの補助金の恩恵を受けられます。

なお、令和7年度(2025年度)は採択済み案件の後年度負担分のみの計上で新規公募は実施されませんでした。公募の有無は年度ごとに変動するため、資源エネルギー庁の最新情報を確認することをおすすめします。

出典:資源エネルギー庁|需要家主導太陽光発電導入促進事業 

ストレージパリティ補助金(環境省)

ストレージパリティ補助金は、自家消費型の太陽光発電設備および蓄電池の導入を支援する環境省の補助制度です。

「ストレージパリティ」とは、蓄電池を導入しないよりも導入した方が経済的メリットのある状態を指します。民間企業・個人事業主・法人が対象で、自己所有モデルの他オンサイトPPAモデルやリースモデルでも申請できます。太陽光発電設備の補助上限は2,000万円、蓄電池は1,000万円です。

令和7年度(2025年度)の公募はすでに終了しています。公募の有無や要件は年度ごとに変動するため、導入を検討する場合は環境省の最新情報を確認することをおすすめします。

出典:環境省|ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業 

省エネ税制(中小企業経営強化税制)

中小企業経営強化税制は、青色申告書を提出する中小企業が、認定を受けた経営力向上計画に基づいて省エネ設備等を取得した場合に、即時償却または取得価額の10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択適用できる制度です。

太陽光発電・蓄電池・空調・LED・変圧器など、電気代削減に直結する設備が対象となっており、補助金との併用も可能です。即時償却を活用することで、設備投資を行う年に大きな節税効果が期待できます。

適用期限は2027年(令和9年)3月31日までです。

出典:中小企業庁|中小企業経営強化税制 

法人の電気代削減を進める際のリスクと注意点

法人の電気代削減に取り組む際は、コスト削減効果だけでなく潜在的なリスクを事前に把握しておくことが重要です。

ここでは、取り組みを進める際に陥りやすい下記の4つのリスクと注意点を解説します。

  • 電力会社切り替え時の違約金
  • 設備投資の費用対効果の過大評価
  • 過度な節電による従業員への影響
  • 補助金不採択リスクと申請コスト

それぞれ詳しく解説します。

電力会社切り替え時の違約金

法人向けの電力契約では、料金を安く抑える代わりに最低契約期間を設けているケースがあります。契約期間中に解約すると高額な違約金が発生する場合があるため、見積もりの単価だけでなく契約条件の詳細まで確認することが必要です。

また、切り替え先の電力会社が撤退・倒産した場合、再度の切り替え手続きが必要となり、一時的に割高な料金が適用されるリスクもあるため、経営安定性も確認しておきましょう。

設備投資の費用対効果の過大評価

提案段階のシミュレーションが楽観的な条件に基づいている場合があります。太陽光発電の発電量は天候・設置場所・パネルの経年劣化によって変動するため、カタログ値通りの削減効果が得られないケースもあります。

設備投資の判断にあたっては、複数社から見積もりを取得し、投資回収期間を保守的な条件で試算することが重要です。

過度な節電による従業員への影響

夏季に冷房温度を極端に上げたり、冬季に暖房を著しく制限したりすると、熱中症や体調不良のリスクが高まります。照明の過度な削減は、作業環境の悪化や労働災害にもつながる恐れがあります。

節電ルールを設ける際は、従業員の快適性と安全性を確保したうえで無理のない範囲に設定し、現場の意見を反映しながら継続的に見直すことが大切です。

補助金不採択リスクと申請コスト

補助金は申請すれば必ず採択されるわけではありません。省エネ補助金の過去の採択率は約6割にとどまっており、申請書類の作成には省エネ計算・根拠資料の整備など多くの工数が必要です。

補助金を前提とした収支計画は不採択時に採算が合わなくなるリスクがあるため、補助金なしの条件でも費用対効果が成立するかを事前に確認しておくことが重要です。

まとめ|法人の電気代削減を効率よく進めるためのステップ

法人の電気代削減を効率よく進めるには、闇雲に取り組むのではなく、優先順位を意識した順序で実践することが重要です。

ステップ1:電気料金の仕組みと現状を把握する

まず取り組むべきは、自社の電気料金の現状把握です。契約種別・料金内訳・デマンド値を確認し、どの項目にコスト削減の余地があるかを明確にします。仕組みを理解せずに対策を講じても、削減効果が出にくいため、この段階を省略しないことが重要です。

ステップ2:初期費用のかからない方法から着手する

現状把握が済んだら、設備投資が不要な方法から着手します。電力会社・料金プランの切り替えやデマンドコントロールは、比較的短期間でコスト削減効果を実感しやすい取り組みです。

ステップ3:設備投資による削減効果を高める

契約・運用面の見直しと並行して、LED化・空調最適化・太陽光発電・蓄電池・BEMSなどの設備投資を検討します。省エネ補助金や税制優遇を活用することで初期費用の負担を軽減でき、長期的な削減効果が期待できます。

ステップ4:リスクを把握したうえで継続的に見直す

電気代削減は一度取り組んで終わりではなく、定期的な見直しが必要です。違約金・費用対効果の過大評価・補助金不採択などのリスクを事前に把握したうえで計画を立て、削減効果を継続的にモニタリングしながら改善を重ねることが、長期的なコスト削減につながります。